蒼彙's profileEgotistの妊娠LifeBlogLists Tools Help

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    April

    今まで責任逃れの恋愛ごっこばかりしてきた
     
    相手の気持ちとか、状況とか、相手に対する責任とか背負いたくなくて
    軽薄な愛の言葉を囁き、身体を交わした後、面倒くさくなれば壊し、飽きれば、また次を探した
     
    来るモノ拒まず 去るモノ追わず
    そして、一度でも去ったモノ、切ったモノとは2度と交わらない
     
     
    いくら探しても、何度蓋を開けてみたところでカラッポな事はわかっているのに
    何もないところに手を這わせ、「またか」っと、溜息を吐いたりして
     
    それでも吐きたくもないような卑猥な言葉を吐き、
    大して感じないsexに満足しているフリをした
     
     
    自分は相手に向き合うことを最初から放棄しているのに
    相手には向いて欲しいなんて
     
    そんな醜悪なエゴを抱えて生きてきたように思う
     
     
    私は今まで誰にも話せなかったことを全て彼に話した
    そして、彼もまた、「こんな話をするのは、君が初めて」っと言った
     
    薄暗い照明に照らされた背中
     
    この人は今までどれほど孤独と向き合ってきたんだろう
    たぶん、それが孤独だとさえ、気付いてないかもしれない
     
    彼の背中を抱いた
     
    「どうしたん?」
     
    「ううん」
     
    涙と泣き声が漏れそうになるのを堪える
     
     
    別れてから感謝をした男が一人だけいる
     
    5年間、付き合った人
     
    他の男に関しては、私の中で「男」ではなく
    「今頃どうしてるんだろう?」とも思い出すこともなく
     
    ただ、無責任に「幸せでいて欲しい」っと願うだけ
     
    そう、想う事で、己自身が楽になるから
    現在のその人自身を私は気にするつもりは一切ないのだから
     
    だから、私の事なんて忘れて、幸せでいてほしい
     
    そうやって、自分の中で片付けてきた
    無理やり、見えないところへ押し込めてきた
     
     
    決して広くはない背中に顔を埋め
    「どうしてこんなにも大切にしてくれるんだろう」っと思った
     
    自分勝手にヒドい事をしてきたし、言葉で傷つけたりもした
    なのに、「どうしてこんなにも受け止めようとしてくれるんだろう」っと
     
    ただ、感謝した
     
    傍にいる誰かにこれほどまでに深く感謝することはなかった
     
    話し上手な人じゃない
    だけど、彼の想いは十分すぎるほど伝わってきて・・・
     
    涙が零れ落ち、彼の背中に伝わらないように堪えた
     
    そうして、堪えた涙が身体中に広がり、ゆっくりと満たし
    今まで渇き切っていた全てを潤す
     
     
    今まで求めて、求めて、だけど、見つけることができずに諦めていたモノに
    ようやく、触れることができた気がした
     
    これが愛というモノなのかもしれない
     
    背中から顔を離し、彼に微笑みながら、そう、思った

    軽やかな春風に吹かれ舞い上がる、桜の花びら
    その情景に見惚れて、少しウルさすぎる私のおシャベりが止まる
     
    どっちが正しいとか、間違っているとか
    勝ちとか、負けとか

    そんな単純に分けられるモノではなく、身体中に沸き上がる感情や、
    脳みその底に溜まっている思考が納得するか、どうかだと思う

    不都合なコトを隠して相手と対峙するコトは
    相手を偽っているコトと、裏切っているコトと同じコト

    その上、相手に何かを求めるなんて

    視野が狭いとか、融通がきかないとか言われても私は納得しない

    私の全てがそれを否定するから


    心地良い車の振動が信号で止まり、目が覚める
    いつの間にか、春の暖かい陽射しに誘われて浅い眠りに落ちていたようで

    寝ぼけた顔で横を見上げると、優しい眼差しがそこにあった
     
    私の寝顔を見るのが好きで
    一晩中起きて傍で静かに見守ってくれる人

    無防備な姿を見られるのは好きじゃないけど、まぁ、いいや

    この人なら
     
     
    深い安らぎを感じながら、穏やかに微笑み返す
    信号が変わり、前を向きなおし、車を動かす

    自分が満たされることよりもまず、私を満たそうとする
     
    大切にしないと この瞬間を
     
    女でしか感じることのできない幸せを、愛される歓びを、胸いっぱいに噛み締めながら
    昼下がりの蒼い空をピンク色に染める桜の花びらが、地面に落ちてしまう前に
     
    再び、そっと目を閉じた

    蜜の味

    すぐに訪れるであろう、終焉がわかっていても誓い合う

    永遠より今を

    触れそうで触れられない、近くて遠い距離
    単純な駆け引きは日常の煩わしさを忘れさせてくれる

    「また、明日」なんて笑顔で帰す
    ジらされているワケじゃないのにジらされている気分

    その余裕が憎らしい

    だけど、そんな余裕があるから私も素直でいられるんだろう

    携帯に残る着信に気付き、かけ直す
    何回目かのコールで諦めて切った

    すぐに鳴る携帯
    出ると寝ぼけた声で「寝てた」と

    たわいのない話
    次はどこへ行こうかとか、何をしょうかとか

    意外と、私が求めていたのはコレなのかもしれない

    絶対的な安心感と、飾らない自然体
    電話を切った後の大アクビさえも心地よい

    恋っていいな  こんなにも楽しいものだとこの年で初めて気付いた
    これを気付かせてくれるために出逢ったのかと思うほどに

    嘘も偽りもない
    それまで感じていた束縛を束縛と感じない

    信頼

    それに触れられる喜びが何よりも幸せ

    例え、いつか壊れてしまうとわかっていても
    今は何も考えずに享受したい

    恋の蜜の味を

    be in love

    延ばそうと思えば届くのに
    指一本、動かせない
     
    身勝手な欲望に縛られて身動きが取れない
     
    それを尻目に自由に動き回っている、その後姿が疎ましくも愛おしい
     
    恋と呼べるモノだけが恋なんでしょうか?